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【評価バイアス】評価者が知っておくべき3つの法則

【評価バイアス】評価者が知っておくべき3つの法則

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第41回の配信をもとに書かれた記事です。

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以前のコラムで、人が人を評価するのは難しいとお伝えしましたが、公平に評価するにはどのようにしたら良いか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。今回は、評価を行う前に知っておくことで、対策ができる評価バイアスを3つお伝えいたします!

目次

3つの評価バイアス

評価バイアスとは、評価の偏りのことを指します。評価者も人間なので、100パーセント公平な評価をすることはできません。しかし、このような評価をつけやすいという評価の傾向があるので、事前に知っておくと、偏った評価をしないように意識することができます。

大きな企業になればなるほど、定期的に評価者研修で評価バイアスの周知を行い、被評価者から評価の公平性についてクレームが出ないように対策しています。今回皆さんにお伝えするのは、ピークエンドの法則、中央化傾向、対比誤差の3つです。それぞれにどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

ピークエンドの法則

ピークエンドの法則とは、ある出来事を評価するとき、その出来事の最も感情が高ぶった瞬間(ピーク)と最後の瞬間(エンド)に強く影響される傾向があるというものです。

例えば、ある営業さんが、ずっと難航していた大口の顧客を獲得したとします。評価者は、大口の顧客を獲得したという強い印象から、その顧客以外の数字が多少前年を割っていたとしても、良い評価をつけてしまいます。

また、ある社員が期末に優れた成績を上げた場合、その社員の成績がそれまで悪かったとしても優れた成績に引っ張られる傾向にあります。反対に、期首に良い成績を上げても、最後の成績が悪ければ評価は低くなってしまいます。

これを防ぐためには、一時点の良すぎた点、悪すぎた点だけを見るのではなく、普段どのように業務に取り組んでいるか、きちんと評価することが大切です。

中央化傾向

中央化傾向とは、評価者が平均的な評価を多くつける傾向を指します。例えば、5段階評価で3を多くつけることです。これは、評価者が部下に嫌われたくない、極端な評価の理由を説明する手間を避けたいという心理から、平均的な評価に落ち着いてしまうことが理由です。

この傾向の悪いところは、誰が良い評価で、誰が悪い評価なのか分からなくなるので、 人事評価を行っている意味がなくなってしまうことです。そうならないためにも、私は中央値の選択肢を排除する方法をおすすめします。

例えば、5段階制ではなく4段階制に変更することです。4段階制にすれば、真ん中がないので、良いか悪いかどちらかを選択しなければなりません。仕組みとして、中央化にならないような評価のランクにすれば、平均値を多くつけてしまう傾向は避けられるかなと思います。

対比誤差

対比誤差とは、評価者が自身の得意不得意を基準に評価してしまう傾向を指します。例えば、評価者が得意なスキルを持たない部下を低く評価したり、自分が苦手なスキルを持つ部下を過大評価したりすることです。

上司は営業が得意で、お客さんとのコミュニケーションもスムーズにこなせる場合、なかなかお客さんと上手に話すことができない部下がいると、厳しい評価をつけてしまいます。一方で、上司が内向的な性格で、部下が社交的であれば、お客さんとのやり取りをそつなくこなす部下に甘い評価をつけてしまいます。

これを避けるためには、評価者が自己分析を行い、自分の得意分野や苦手分野を把握することが必要です。自身が得意なものは厳しく、苦手なものは甘く評価をしてしまう傾向にあるので、評価をする際にこれを意識しておくと、平等な評価につながっていくでしょう。

まとめ

今回は3つの評価バイアスを紹介しましたが、事前に知っておくことで、公平な人事評価を実現しやすくなります。

意識すれば必ず防げるわけではないですが、経営者は、評価者自身がバイアスに気づくきっかけとなる研修や制度の見直し積極的に行い、従業員全員にとってよい評価制度を作るように努力していくことが大切です。

評価バイアスを知ることは上司と部下の関係だけでなく、友人や家族の関係にも応用できる知識です。日常生活でもこれらの傾向を意識することで、より良好な人間関係を築いていけるといいですね。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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