このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第123回の配信をもとに書かれた記事です。
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経営や労務管理の立場に立つと、「休暇」というシンプルな言葉ひとつにも、意外と曖昧な部分や運用上の迷いが出てくるものです。休暇シーズンが近づくたびに、従業員から質問を受けたり、制度設計の見直しを検討したりする企業も多いのではないでしょうか。今回は、経営者や労務担当者の皆様が自信を持って制度を運用できるよう、休暇の基本的な考え方と実務のポイントを詳しく解説していきます。
休日と休暇の違いを正しく理解する
まず押さえておきたいのが、休日と休暇の違いです。日常会話では同じような意味で使われがちですが、労務管理の実務では明確に区別されています。
休日とは、労働契約の時点で「そもそも働く義務がない」と定められている日のことです。週休2日制で土日が休みという契約なら、その土日が休日にあたります。
休暇とは、「本来なら働く義務がある日」、つまり労働日であるにもかかわらず、一定のルールに基づいて会社がその義務を免除した日を指します。平日に取得するものが休暇だと考えるとわかりやすいでしょう。
この違いを理解しておくことは、給与計算や振替出勤の処理を行う際の基礎になります。たとえば「休日出勤の代わりに平日を休みにする」という振替休日の考え方も、この区別があってこそスムーズに運用できます。実際に現場では、この違いを正確に理解していないことで、従業員との認識のズレが生じたり、給与計算でミスが発生したりするケースも少なくありません。
年次有給休暇の運用で押さえるべきポイント
休暇制度の中心といえば、やはり年次有給休暇です。これは一定の要件を満たした労働者全員に対して、会社が付与しなければならない法定の権利です。仮に就業規則に記載がなかったり、「有給なし」と書いてある雇用契約書に本人がサインしている場合であっても、要件さえ満たせば年次有給休暇は発生します。これは労働基準法で定められているためで、会社の都合で変更することはできません。
実務でよくある誤解が、パートタイムの方などが「もともとの休日」に有給休暇を使いたいと申し出るケースです。しかし休暇はあくまで労働日に使うものですから、休日には使えません。この点は丁寧に説明する必要があります。従業員からすれば「せっかくの権利なのだから自由に使いたい」と考えるのも自然ですが、制度の趣旨を理解してもらうことが大切です。
また、有給休暇の買い取りは原則として認められていません。ただし退職時に残った有給休暇を、妥当な金額設定で退職金として支給したり、時効で消滅する分を賞与の形で還元したりすることは、検討することができます。法制度の主旨とは異なりますが、消化できなかった年次有給休暇相当額を金銭に変えて支給することは、従業員の満足度を高めることにつながるでしょう。
夏季休暇や年末年始休暇の設計の自由度
夏季休暇や年末年始休暇は、法律で義務づけられているわけではありません。会社が任意で設ける制度ですから、業態や取引先の状況に応じて自由に設計できます。この自由度の高さを活かして、自社の特性に合った制度を作ることが重要です。
製造業で工場を持つ会社なら、生産ラインを止めるタイミングで一斉に休暇を取得するケースが多いでしょう。一方、サービス業や事務職中心の職場では、7月から9月までの間で好きな日を数日選んで休む選択制を導入している例も珍しくありません。大企業では工場の停止期間に合わせて2週間近い長期休暇を設けているところもあります。
年末年始も同様で、インフラ系や金融機関のようにギリギリまで稼働する業種もあれば、取引先の休止に合わせて長めに設定する会社もあります。自社の生産性と従業員のモチベーション維持、この両方のバランスを考えた設計が求められます。特に近年は、従業員の働きやすさを重視する傾向が強まっており、休暇制度の充実が採用力や定着率にも影響を与えるようになっています。
慶弔休暇の設計で押さえたい社会通念
結婚や弔事の際に付与する慶弔休暇も、会社が任意で作成する休暇制度です。
親族が亡くなった場合の休暇日数は、配偶者や父母といった近親者なら5日程度、遠い親戚なら1日から2日程度とするのが社会通念上の目安とされています。
ここで考慮したいのが「喪主を務めるかどうか」という視点です。喪主は葬儀の手配や関係者への連絡など、非常に多くの時間と労力を要します。その役割に応じて日数を調整する設計も有効でしょう。実際に、喪主を務める場合は通常よりも長い休暇を認めている企業もあります。
結婚休暇については、前後の土日と合わせて新婚旅行に行きやすいよう5日間程度とする企業も少なくありあません。あわせて、トラブルを防ぐために「入籍から1年以内」といった取得期限を明確に設けておくことをお勧めします。こうした細やかな設計が、会社から従業員へのお祝いや配慮のメッセージをより明確に伝えることにつながります。従業員にとって人生の節目となる大切なイベントですから、会社としても温かくサポートする姿勢を示すことが、信頼関係の構築につながるのです。
まとめ
休暇制度は、単に仕事を休む仕組みというだけでなく、従業員のワークライフバランスを支え、組織への定着率や生産性を高めるための大切なツールです。今回お話ししたように、有給休暇の運用や特別休暇の設計には、実務的なポイントが数多く存在します。
社会保険労務士法人ONE HEARTでは、休暇制度の設計はもちろん、急成長を遂げる企業が将来後悔しないための働き方の設計を幅広くサポートしています。「自社の休暇制度が今のままで良いのか不安だ」「より魅力的な職場環境を作りたい」とお考えの経営者や労務担当者の皆様は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料で承っております。皆様の会社がより良い成長を遂げられるよう、私たちが全力でサポートいたします。
また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。
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執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)
社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。


