マネーフォワードクラウドを導入して給与計算や労務手続きを効率化する際、その効果を最大化する鍵となるのが専門家である社会保険労務士の存在です。
本記事では、マネーフォワードの導入や運用に強い社会保険労務士を選ぶための比較ポイント、依頼できる具体的な業務内容、そして契約前に確認すべき注意点までを網羅的に解説します。
自社に最適なパートナーを見つけるための一助としてください。
マネーフォワードの導入・運用を社労士に相談する3つのメリット
マネーフォワードの導入や運用を社会保険労務士に相談することには、単なる業務のアウトソーシング以上のメリットがあります。
専門家の知見を活用することで、システムのポテンシャルを最大限に引き出し、人事労務管理全体の質を向上させることが可能です。
特に、正確な初期設定、法改正への確実な対応、そしてシステムと実務の連携による相談窓口の一本化は、担当者の負担を大幅に軽減します。
メリット1:複雑な初期設定をミスなくスムーズに完了できる
マネーフォワードの導入で最初のハードルとなるのが、給与規定や勤怠ルールといった自社の就業規則に合わせた初期設定です。
従業員情報の登録から各種手当、社会保険料の設定まで、項目は多岐にわたります。
社労士に依頼すれば、法的な要件と実務上の運用を両立させた最適な設定を代行してくれます。
専門家が構築した正確なワークフローは、後々の手戻りや計算ミスを防ぎ、円滑な運用開始を実現します。
メリット2:給与計算や社会保険手続きの正確性が向上する
給与計算は、毎年のように行われる保険料率の改定や法改正への対応が不可欠です。
これらの情報を自社だけで正確に収集し、システムに反映させるには専門的な知識が求められます。
労務の専門家である社労士が介在することで、常に最新の法令に基づいた給与計算が保証されます。
システムの機能を熟知した社労士がチェックを行うため、計算ミスや手続き漏れのリスクを大幅に低減でき、企業のコンプライアンス強化にも貢献します。
メリット3:システム運用と労務管理の相談を一本化できる
マネーフォワードの操作方法に関する疑問から、従業員の残業時間管理や有給休暇の取得といった日々の労務問題まで、相談窓口を社労士に一本化できる点は大きなメリットです。
システムと労務管理の実務は密接に関連しているため、両方を理解している専門家に相談することで、問題の切り分けが不要になり、迅速かつ的確なアドバイスが期待できます。
結果として、人事労務担当者の業務負担が軽減され、より戦略的な業務に集中できます。
マネーフォワードに強い社労士を選ぶ際の4つの比較ポイント
自社に最適な社労士を見つけるためには、いくつかの重要な比較ポイントがあります。
単にマネーフォワードを扱えるというだけでなく、企業の状況に合わせた提案やサポートが可能かどうかを見極めることが重要です。
特に、マネーフォワード社からの認定、自社の課題への対応力、業界知識の有無、そしてサポート体制の4つの視点から比較検討することをおすすめします。
ポイント1:「マネーフォワード公認メンバー」であるかを確認する
「マネーフォワード公認メンバー」とは、マネーフォワード社が公式に認定した、製品知識と導入支援の実績が豊富な専門家のことです。
公認メンバーは、システムの最新情報や効果的な活用方法に関する研修を受けており、質の高いサポートが期待できます。
公式サイトの検索機能では公認メンバーに絞って探すことも可能です。
ポイント2:給与計算や勤怠管理など自社の課題に対応可能か
社労士を選ぶ際は、自社が抱える具体的な課題を解決できるかどうかが重要です。
例えば、複雑なシフト制を採用している、変形労働時間制を導入したい、あるいは多様な雇用形態の従業員が在籍しているなど、企業によって労務管理の課題は異なります。
依頼を検討している社労士のウェブサイトで導入事例を確認したり、初回相談時に自社の給与体系や勤怠管理の特殊性を伝え、対応可能か具体的な実績を尋ねたりして見極めることが大切です。
ポイント3:自社の業界特有の労務事情に精通しているか
建設業、医療・介護、IT、飲食業など、業界によって労働時間や賃金体系、適用される法律の解釈が異なる場合があります。
自社が属する業界の商慣習や特有の労務問題に精通している社労士であれば、より実態に即したアドバイスやシステム設定が期待できます。
例えば、IT業界であれば裁量労働制、建設業界であれば社会保険未加入問題など、業界特有の課題への理解があるかどうかが、円滑な労務管理の鍵となります。
ポイント4:コミュニケーションの取りやすさやサポート体制は十分か
社労士とは長期的な関係を築くことが多いため、担当者との相性やコミュニケーションの円滑さは非常に重要です。
質問や相談に対するレスポンスの速さ、説明の分かりやすさ、そして連絡手段が自社の希望と合っているかを確認しましょう。
契約前の面談などを通じて、気軽に相談できる雰囲気があるか、親身に対応してくれるかといった人柄の部分も見極めることで、導入後のミスマッチを防げます。
マネーフォワードに精通した社労士に依頼できる主な業務内容
マネーフォワードに精通した社労士には、システムの導入準備から日々の運用、さらには行政への手続きまで、幅広い業務を依頼することが可能です。
これらの業務をフェーズごとに分解すると、主に「導入」「運用」「手続き」の3つに大別できます。
それぞれのフェーズで専門家のサポートを受けることで、自社の負担を軽減し、正確で効率的な労務管理体制を構築できます。
導入フェーズ:従業員情報や給与規定などの初期設定
システムの導入において最も重要かつ煩雑なのが初期設定です。
社労士には、従業員一人ひとりの基本情報、扶養家族、社会保険情報などの登録を依頼できます。
また、就業規則や給与規定に基づき、基本給、各種手当、割増賃金の計算ロジック、勤怠管理のルールなどを正確にシステムへ反映させます。
データの取り扱いにおいても、2段階認証の設定推奨など、セキュリティを確保した上での作業が期待できます。
運用フェーズ:月々の勤怠締めと給与計算の代行
導入後の運用フェーズでは、毎月の給与計算に関わる業務を代行してもらえます。
具体的には、マネーフォワード上で収集された勤怠データを確認・集計し、残業時間や休日出勤に間違いがないかをチェックします。
その後、確定した勤怠データをもとに給与計算を実行し、給与明細書の作成までをサポートします。
法改正に伴う保険料率の変更などにも確実に対応してくれるため、常に正確な給与計算が維持されます。
手続きフェーズ:Web申請に対応した社会保険・労働保険の手続き
従業員の入社・退職に伴う社会保険の資格取得・喪失手続きや、年に一度の算定基礎届、労働保険の年度更新といった行政手続きも、社労士の主要な業務です。
マネーフォワードは、これらの手続きを電子申請で行う機能も備えています。
社労士に依頼すれば、システム上の従業員データと連携してスムーズに申請作業を進めることができ、ペーパーレス化と手続きの迅速化を実現します。
マネーフォワードに対応可能な社労士の探し方
マネーフォワードの活用をサポートしてくれる社労士を見つけるには、いくつかの効果的な方法があります。
システムの機能を熟知した専門家を効率的に探すためには、公式のプラットフォームを利用するのが最も確実です。
また、既存のビジネスネットワークを活用し、信頼できる専門家から紹介を受ける方法も有効な手段となり得ます。
ここでは、代表的な2つの探し方を紹介します。
探し方1:マネーフォワード公式サイトの「社労士検索サービス」で探す
最も信頼性が高く効率的な方法は、マネーフォワードが提供する公式サイトの検索サービスを活用することです。
このサービスでは、「マネーフォワード公認メンバー」をはじめとする全国の社労士を検索できます。
地域や得意な業種、提供サービス内容で絞り込むことが可能なため、自社のニーズに合った事務所を簡単に見つけられます。
プロフィールや実績も確認できるため、比較検討の際の有力な情報源となります。
探し方2:地域の商工会議所や付き合いのある税理士に紹介してもらう
すでに顧問契約を結んでいる税理士がいる場合、まずはその税理士に相談してみるのも一つの手です。
税理士と社労士は業務上の連携が多いため、信頼できる社労士を紹介してもらえる可能性が高いです。
また、地域の商工会議所や中小企業支援センターといった公的機関に相談する方法もあります。
これらの機関は地域の専門家ネットワークを持っており、中立的な立場で自社に適した社労士を紹介してくれることが期待できます。
社労士へ依頼する前に確認すべき3つの注意点
社労士との契約は、企業の労務管理を長期的に委ねる重要な決定です。
そのため、契約後に「期待と違った」というミスマッチが生じないよう、事前にいくつかの点を確認しておく必要があります。
特に、料金体系の透明性、依頼する業務範囲の明確化、そして担当者との相性の3点は、円滑なパートナーシップを築く上で欠かせない要素です。
これらの注意点を押さえ、納得のいく契約を目指しましょう。
注意点1:料金体系が顧問料に含まれる範囲を明確にする
社労士の料金体系は事務所によって様々です。
月額の顧問料にどこまでの業務が含まれているのかを必ず確認しましょう。
例えば、給与計算は顧問料の範囲内でも、年末調整や算定基礎届の作成は別途料金が発生する場合があります。
複数の料金プランが提示された場合は、それぞれのサービス内容の違いを詳しく説明してもらい、自社の依頼したい業務がどのプランでカバーされるのかを契約前に書面で明確にしておくことが重要です。
注意点2:どこまでの業務を依頼するのか契約前にすり合わせる
「給与計算を依頼する」といった大まかな合意だけでは、後々トラブルの原因になりかねません。
例えば、勤怠データの入力やチェックは自社で行うのか、それとも全て社労士に任せるのかなど、具体的な業務の分担範囲を詳細にすり合わせましょう。
導入支援を依頼する場合も、初期設定の代行のみなのか、従業員向けの説明会まで実施してくれるのかなど、サービスに含まれる範囲を具体的に確認し、契約書に明記することが後の誤解を防ぎます。
注意点3:担当者との相性やレスポンスの速さを見極める
労務管理はデリケートな情報も扱うため、担当者との信頼関係が不可欠です。
契約前に無料相談や面談の機会を利用し、担当者の人柄やコミュニケーションのスタイルが自社と合うかを見極めましょう。
質問に対して専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれるか、メールや電話へのレスポンスは迅速かといった点も重要な判断基準です。
長く付き合うパートナーとして、気軽に相談できる相手かどうかを確認してください。
マネーフォワードと社労士連携に関するよくある質問
ここでは、マネーフォワードの利用に関して社労士への依頼を検討する際に、多くの企業が抱く疑問について解説します。
スポットでの依頼の可否や費用の目安、そして既にシステムを運用している場合でも依頼が可能かといった、具体的な質問にお答えします。
顧問契約ではなく、初期設定だけを依頼することも可能ですか?
できる場合とできない場合があります。
社労士事務所では、顧問契約とは別に、マネーフォワードの導入支援や初期設定のみを単発で依頼できるスポット契約に対応しているケースとそうでないケースがあるので注意が必要です。
システムの導入でつまずく企業は少なくないため、ニーズの高いサービスの一つです。
料金は作業範囲に応じて個別見積もりとなるのが一般的です。
費用はどのくらいかかりますか?料金の相場を教えてください。
費用は企業の従業員数や依頼する業務範囲によって大きく変動するため、一概には言えません。
目安として、給与計算を含む顧問契約の場合は月額3万円~、初期設定の代行は10万円~が相場というのが当社の見解です。
ただし、これはあくまで一般的な例であり、正確な料金を知るためには複数の事務所から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
既にマネーフォワードを使っていますが、途中からでも依頼できますか?
はい、問題なく依頼できます。
現在の設定や運用方法を専門家の視点で見直してもらい、より効率的な運用方法の提案や法改正に合わせた設定修正などを依頼するケースは多くあります。
自社の運用が適切かを確認するセカンドオピニオンとして活用したり、担当者の退職に伴い業務を引き継いだりすることも可能です。
まとめ
マネーフォワードの導入効果を最大限に高めるためには、システムの機能を熟知した社会保険労務士との連携が不可欠です。
専門家による正確な初期設定や運用サポートは、人事労務担当者の負担を軽減し、企業のコンプライアンス遵守と生産性向上に直結します。
社労士を選ぶ際は、「マネーフォワード公認メンバー」であるかを確認し、自社の課題や業界特性に対応可能かを見極めることが重要です。
本記事で紹介した選び方のポイントや注意点を参考に、自社にとって最適なパートナーを選定してください。
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執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)
社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。


