コラム

【経営】カスハラしやすいお客さんを見分ける方法

【経営】カスハラしやすいお客さんを見分ける方法

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「10分で労務がわかるラジオ」” 第185回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

カスハラが深刻化する時代に、経営者が持つべき「見分ける目」

「土下座しろ」「責任者を出せ」と怒鳴り続ける。電話口で何時間も暴言を浴びせる。

カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉が急速に広まり、こうした行為が社会問題として認識されるようになりました。厚生労働省の指針においても、顧客等からの著しい迷惑行為は従業員の心身に深刻な影響を及ぼし、職場環境を悪化させる問題として明確に位置づけられています。

私自身も以前、お客様から「今すぐ来い」と強い口調で呼び出された経験があります。当時は誠実に応じることが正しいと考えて即座に駆けつけましたが、今となればそれは合理的な必要性のないカスハラでした。問題が発生してから対処するより、予兆の段階で察知する力を持つことのほうが、経営上はるかに重要です。

カスハラ対策というと、問題が起きてからの「事後対応」ばかりに目が向きがちです。しかし経営者として本当に優先すべきは、トラブルの火種になりやすい顧客をいかに早い段階で見極めるか、という視点にあります。本稿では、実際に直面してきた経験をもとに、カスハラを起こしやすい顧客の特徴と、組織を守るための実践的な対策をお伝えします。

カスハラしやすい顧客の第一の兆候「過度な低姿勢と二面性」

意外に思われるかもしれませんが、カスハラを起こしやすい顧客に共通する典型的な特徴のひとつは、商談の場で代表者や担当者に対して「先生、先生」と過剰なほど低姿勢で接してくることです。こうした方は、「自分は下、サービス提供者は上」という極端な上下関係を自ら作り上げる傾向があります。そしてその期待が少しでも外れた瞬間、関係性が一変し、攻撃的な態度へと豹変するリスクを内包しています。

さらに警戒が必要なのは、代表者には丁寧でありながら、スタッフに対しては高圧的な態度をとるという二面性です。私が同席した途端に急に物腰が柔らかくなるような場面を、これまで何度も目にしてきました。また、合理的な根拠もなく最初から強引に値引きを迫ってくる方も要注意です。これは相手の提供するサービスの価値や立場を尊重していない表れであり、契約後のトラブルに発展する可能性が高い。価格をめぐるやり取りの段階で、カスハラへの攻防はすでに始まっています。

契約前・契約書に現れる見逃せない「警戒サイン」

カスハラの予兆は、契約が成立する前の段階からすでに顔を出していることがあります。まだ正式な契約が始まっていない段階にもかかわらず、具体的な成果物を要求してくるケースがその典型です。他者の権利やコストへの配慮が欠如している方は、契約後も同様の感覚で無理な要求を積み重ねてくる傾向があります。

契約書をめぐるやり取りにも、重要なサインが潜んでいます。一方的に有利な契約条件を要求する場合は、要注意です。これは万一の際に相手を徹底的に追い詰めようとする意図の表れであり、後々の深刻なトラブルの火種になりえます。さらに、交渉の初期段階から「顧問弁護士がいる」という事実を威圧的に持ち出してくる方も、誠実なパートナーシップを築くことが困難です。こうしたサインを見落とさないよう、契約前のプロセス全体を通じて相手の言動を注意深く観察することが欠かせません。

リスクのある顧客への「断り方」の作法

「このお客様は危険だ」と判断した場合、どのように対応するべきでしょうか。避けていただきたいのは、高めの見積もりを提示して自然消滅を狙う方法です。万が一その金額が受け入れられてしまうと、高額な報酬を支払っているという意識から、かえってさらに過酷な要求が相次ぐリスクが生まれます。

私が推奨するのは、誠実に正面から断る方法です。「あのときの言動が不快だった」といった感情的な言葉はあえて用いず、「現在の当社のサービスでは、お客様のお役に立てず、かえってご迷惑をおかけしてしまう」という構成で丁重にお伝えします。関係の継続が双方にとってマイナスである点を理由として据え、次の相談先を探すための猶予期間を設ける。そのような形を取ることで、意外にも円満に受け入れていただけるケースは少なくありません。感情的な対立を生むことなく、毅然と線を引く姿勢が重要です。

組織を守る「カスハラ防御体制」の整え方

カスハラから組織を守るためには、契約上のリスクヘッジと日常の実務対応、その両面から備えを整える必要があります。当法人の契約書には、役員やスタッフに対して高圧的な言動があった場合に即時解約できる条項を設けています。問題が生じた際に毅然とした態度でスタッフを守れる体制を、契約の段階から作り込んでおくことが大切です。

実務面では、リモート会議の録画や電話の自動録音を習慣化し、客観的な記録を残しておくことが不可欠です。加えて、スタッフ自身がカスハラを受けていると気づいていないケースや、自分の対応に問題があったと思い込んで一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。「違和感を覚えたら必ず報告する」という報告義務を組織として明文化しておくことで、スタッフが孤立することなく相談しやすい環境が整います。深刻な事態になる前に組織として動けるかどうかが、被害の拡大を防ぐ分岐点となります。

まとめ

カスタマーハラスメントは、一度許容するとエスカレートする性質を持っており、お願いや話し合いで改善されることはほとんどありません。「おかしい」と感じた瞬間に、契約解消も選択肢に含めた毅然とした対応をとることが、スタッフと経営を守ることへと直結します。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、カスハラ対策を含む契約書の整備、スタッフが安心して働ける職場環境の設計、そして問題が生じた際の対応支援など、経営者の皆様の状況に応じた多角的なサポートをご提供しています。労務管理や職場環境づくりに不安やお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料ですので、ホームページよりお気軽にお問い合わせください。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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