コラム

経営者なら知っておきたい!キングダムに学ぶ大企業の問題社員対応

経営者なら知っておきたい!キングダムに学ぶ大企業の問題社員対応

このコラムは、Podcastラジオ “社労士 吉田優一の「給与設計相談室」” 第18回の配信をもとに書かれた記事です。

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今回も、前回語り切れなかったキングダムの魅力を給与、経営に絡めてお話させていただきます。私がこの作品を好きな理由の1つは、善悪がはっきりしていないところです。戦争を題材にしているので自国を守るという大義があり、絶対に正しい考えというものはありません。キングダムでは登場人物ごとに価値観が異なるので、見る人によって感情移入をする人物が分かれ、議論が非常に盛り上がります。
今回は主人公「信」と1人の武将である「王翦(おうせん)」というキャラクターを例に挙げて、問題社員対応について解説いたします!

目次

信と王翦の違い

主人公である信は王様の昔なじみの友人で、下僕の身分から天下の大将軍を目指している少年です。最初は1兵士でしたが、多くの将軍を打ち取って昇格し、飛信隊という自分の隊を持つまでに成長します。やる気に満ち溢れ、自ら軍の先頭に立ち、隊を引っ張っていく戦い方を行います。

企業に例えるならば、急成長中のスタートアップ企業です。職場として考えると労働時間が長い等ブラックな要素がありますが、社長の人柄に惚れ込んだ社員が多く、結束力が強いことが特徴です。

一方で、王翦は実力派の武将です。砦を築いたところに攻め込んできた相手をうまく誘導し、自分の勝ちパターンに乗せていくことを得意としています。自身の経験の中から得意なところを極めていき、決して無理をしない戦い方を行います。
企業で例えると大企業です。自分の市場を持ち、価格設定をうまく行ってシェアを広げる。他の企業が参入できないような戦略をとる、安定的な経営を行う会社です。

両軍のメリットデメリット

どちらの軍にもメリットとデメリットがあります。

飛信隊のメリットは多くの経験が得られることです。人数が少ない上にやらなくてはならない仕事が多いので、1人が抱える業務量が増加します。自ら判断し、行動していくことが求められるので、仕事をこなしていく中で大企業では得られない経験を積むことができるでしょう

デメリットは忙しいことです。先ほどの経験が得られるというメリットの一方、業務量が多いので、体力的にも精神的にも負荷がかかります。

王翦軍のメリットは、基盤が安定していることです。資本や経営戦略があるので、多少業績が傾いてもすぐに仕事がなくなるということはありません。私には2歳の息子がいますが、子を持つ親としては飛信隊よりも王翦軍で働いてほしいですね。

反対にデメリットは仕事の幅が狭いことです。大企業は業務が細分化されていることが多く、全体の業務のうち1部しか割り振られないことがあります。そのため、長年勤めていてもできる仕事が少ないということが起こりうるのです。また、自社特有のルールを適用していることもあるので、他の企業に転職しようとしても能力を発揮できないことも考えられます。

問題社員対応に強いのは

それでは、問題社員対応に強いのはどちらの企業でしょうか。私は飛信隊の方がスムーズに対応できると考えています。
問題社員は仕事ができないというイメージがありますが、それはその方が活躍できる場がないために起こっていると考えます。
飛信隊は営業、社内インフラの構築、経理、人事など社員1人が抱えている業務がたくさんあるので、とある業務が自分に合わなくても、得意とする分野に出会える可能性があります。一連の業務を経験していく中で自分の適性を知り、活躍できる場を見つけることができればその社員も十分な戦力になります。また、社長の人柄に社員がついてきているので、労働時間などの環境部分で不満を持っている社員はすぐに退職し、揉めるケースが少ないです。

それでは、王翦軍はどうでしょうか。大きな企業は割り振られた仕事しか行わない傾向にあるため、今行っている業務が自分に合わないということだけで、会社で活躍できる場がなくなってしまう可能性があります。他の業務を経験していないがゆえに何が得意かわからない上に、王翦軍でしか使用できるスキルを持っていないので、辞めるという選択肢を取らない問題社員が出てくることが考えられます。ホワイトな職場なので、簡単に人を辞めさせるということもできません。

問題社員がいた場合の対応

問題社員がいた場合はどのようにしたら活躍できるのか、まずは一緒に話し合うことが大切です。
その上で大企業の対応としてよくあるものですと、追い出し部屋を作って配置転換をするという方法があります。社会保険労務士の立場からするとおすすめしません。

また、出向も1つの手段です。その他に飛信隊のような社風の異なる会社を買収してきて配置転換を行う方法も考えられます。問題社員をそこに配置して、その会社で生き残ることができるか適性を試していきます。ひどいことをいっているように聞こえるかもしれませんが、新たな活躍のチャンスを与えることも企業が行うべき対応の1つです。本当に問題社員が活躍したいと思っているのであれば、その道があった方がよいです。

この方法は大企業向けと思われるかもしれませんが、M&Aは近年中小企業でも活発化しています。資金調達さえできれば個人でも可能なため、買収という選択肢を視野に入れることも検討してはいかがでしょうか。

まとめ

  • 自社のタイプに合わせた人材を採用する
  • 問題社員がいた場合はまず話し合い、ポジティブになる対応を見つける

そもそも問題社員を出さないために、経営者は自分が経営しているのは飛信隊なのか、王翦軍なのかを自覚することが必要です。その自覚がないとどのような人材を採用すればよいのかわからなくなってしまうからです。もしご自身が飛信隊であれば、いろんな経験をしたいという人を、王翦軍であれば、安定志向の人を採用するのがよいでしょう。

そこを間違えてしまうと、後々社員の問題で悩むことになります。ご自身の会社の方向性をしっかり自覚したうえで採用を行うことが、問題社員を生み出さない一番の方法になるでしょう。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。効率的な労務管理の手法を広めつつ、自ら会社経営を実践するために社会保険労務士法人ONE HEARTを設立し独立開業。

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