コラム

【労働基準監督署】労働基準監督署は怖くない!見られるポイントは〇〇

【労働基準監督署】労働基準監督署は怖くない!見られるポイントは〇〇

このコラムは、Podcastラジオ “社労士 吉田優一の「給与設計相談室」” 第26回の配信をもとに書かれた記事です。

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ある日突然、労働基準監督署から調査通知がきたら、不正を行っていなくてもドキッとしてしまいますよね。しかし、調査で見られる項目は決まっている為、普段から適切に処理を行っていれば不安になる必要はありません。今回のコラムでは、押さえておけば問題ない調査のポイントについてお伝えいたします!

目次

労働基準監督署は怖くない!

よく労働基準監督署の調査は怖いという話を耳にしますが、皆さんが恐れているのは「労働基準監督署が来たからには、何か粗を探して厳しく指導をされるのではないか」というイメージがあるからではないでしょうか。もちろん、法律に違反している場合や賃金の計算間違いがある場合には遡って修正するよう指導が入ります。しかし、労働基準監督署の指導は過去の間違いを指摘して何年間分も修正させるより、調査に訪れた会社が法令を遵守し、その会社で働く従業員が安全に安心して働けるよう、未来に向かって良くする為の指導が多い印象を受けます。

私は今まで複数の調査に立ち会ってきましたが、会社の状況によっても指導の内容は異なります。調査官は絶対に口に出しませんが、会社が事業を続けていける範囲内で指導を行っているように感じます。

例えば、未払い賃金があった場合、現在法律上は3年間遡って指導することができます。しかし、実際に労働基準監督署が修正するよう指導するのは直近3か月~6か月のみで、3年間遡って修正するよう指導することはほとんどありません。その理由として、一度に多額の支出を伴う修正があると、会社の経営が難しくなってしまうことが挙げられます。会社が存続できないと、雇用されている従業員が職を失ってしまうので、そのような事態を避ける為に状況に応じた指導を行っていると考えられます。

ただし、これは意図せず発生してしまった過失の場合の指導であり、故意に違反を行っている場合はこの限りではありません。

調査の種類と調査対象となる会社の選定理由

労働基準監督署の調査は大きく4つあります。

  1. 無作為に対象企業が選定され、法令全般の確認が行われる定期調査
  2. 労災(業務災害)の申告が一定数以上ある場合や、労災が発生してしまった原因究明・再発防止の指導を行う為の調査
  3. 過去に是正勧告を受けた会社において違反を是正したか確認する為の再調査
  4. 労働者からの内部告発による事実確認を行う為の調査

労働基準監督署から調査の連絡が入る時、上記のどの理由で調査が行われるのかは伝えられません。ただ、労働基準監督署の調査の目的は、労働環境の整備・改善や労働者の権利を守る事が目的となっています。

労働基準監督署が調査で確認するポイント

先ほど「調査の目的は労働環境の整備・改善や労働者の権利を守る事」とお伝えしましたが労働基準監督署が調査の際に確認するポイントは大きく2つです。分かりやすくお伝えすると、1つは命に関わること、もう1つはお金、時間に関わることです。

━命に関わること

月の労働時間が過労死の危険がある基準を超えている、業務上危険な作業が伴う、業務を行う場所が安全でないなど、安全配慮義務に違反している場合は、調査において厳しく指導が入ります。また、作業自体は危険ではなかったとしても、不注意により大怪我をする可能性があるような業務では、作業工程においてルールを作成し、それを従業員に徹底させる必要があります。

━お金、時間に関わること

命の危険がないようであれば、労働基準監督署が次に確認するポイントはお金と時間の部分です。適切にタイムカードを記録しているか、それを基に正しく給与計算が行われて支払いがされているか、未払いの賃金はないかというところが確認されます。

調査の際、絶対にやってはいけないこと

調査の際に絶対にやってはいけないことは、虚偽の書類を提出することや労働基準監督署からの連絡を無視することです。虚偽の書類を提出した場合は罰金の対象になり、連絡を無視し続けると強制的に調査が行われることもあります。労働基準監督署から連絡が来た際は、協力的な姿勢で誠実に対応することが必要です。

IPO準備中の会社は注意が必要

上記でお伝えしたように、調査による是正勧告には誠実に対応していれば大きな問題はありません。しかし、上場準備中の会社が法令違反で是正勧告を受けてしまった場合、是正を行ってからでないと上場することができません。場合によっては上場スケジュールが延期になるなど大きな影響が出てしまう為、上場前は特に労務管理体制に問題がないか、注意が必要です。

まとめ

  • 調査のポイントは「命」と「お金・時間」に関わること
  • 絶対にやってはいけないことは「虚偽の報告」と「無視」
  • 上場準備中の会社は労務管理体制に特に注意が必要

労働基準監督署の調査は、命、お金、時間に関わることを中心に確認されます。労働環境や社内規則の整備と周知、普段から定期的に帳簿類を確認し不備が無いか見直しておくことやタイムカードを整理し、正確な勤怠管理が行えるよう徹底していれば、突然調査が行われても慌てることはありません。自社の就労規則や労働環境が法令に準拠しているか確認する良いタイミングと考え、調査の連絡が届いたら誠実に対応する事を心がけましょう。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。効率的な労務管理の手法を広めつつ、自ら会社経営を実践するために社会保険労務士法人ONE HEARTを設立し独立開業。

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