コラム

【給与厚生】中小企業が報酬UPする方法

【給与厚生】中小企業が報酬UPする方法

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「10分で労務がわかるラジオ」” 第153回の配信をもとに書かれた記事です。

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スタッフの待遇を良くしたい。顧問先の経営者とお会いすると、そう感じている方が本当に多くいます。それでもなかなか動き出せない。その背景にある「一度上げたら、下げられない」という不安は、中小企業の経営者に特有の、とても正直な悩みです。社会保険料の負担増や最低賃金の引き上げが続くなか、報酬の見直しはもはや先送りのきかない課題になっています。今回は、その不安を制度設計で乗り越えるための考え方と、金銭以外の報酬という視点からも整理します。

賃上げをためらわせる「下げられないリスク」を乗り越える

給与を上げることへのためらいの根底には、「一度決めたら戻せない」という現実があります。経営状況が悪化しても、スタッフの同意なしに給与を引き下げることは困難です。労働条件の不利益変更にあたるためです。先行きが読みにくい中小企業にとって、このリスクが賃上げへの心理的な壁になっているのは、よく理解できます。「知投げに対応しなければと思っている。でも原資の見通しが立たない」という声も、決して珍しくありません。

この問題を制度で解決するアプローチのひとつが、「下がり得る条件をあらかじめ組み込む」という方法です。受注状況や粗利などの業績と連動する手当や賞与を取り入れることで、収益に応じた報酬の増減を制度として正当に設計できます。固定給で生活の安定を担保しながら、実績に応じた変動部分を設ける収益連動型の報酬設計は、経営者にとっては柔軟性があり、スタッフにとっては「なぜこの金額なのか」が見えやすくなるという、双方にとって納得感のある仕組みです。

変動時のルールを就業規則や賃金規程にあらかじめ明記しておくことは、後々のトラブルを防ぐうえでも欠かせません。「上げたいけれど怖い」という感覚は、こうした制度の枠組みによって着実に乗り越えることができます。報酬制度を整えることは、採用競争力の強化にも直結する、重要な経営上の意思決定です。

給与水準の相場を知ることが、報酬設計の出発点

「自社の給与が市場と比べてどれくらいの水準なのか、正直よくわからない」という声も聞きます。感覚で報酬を設定し続けていると、気づかぬうちに市場との乖離が生じていることがあります。採用活動の場で初めてそのギャップに直面し、慌てて対応するケースは少なくありません。問題が顕在化してからの対応は後手に回りやすいため、余裕のある時期に自社の立ち位置を把握しておくことが大切です。

国の賃金統計なども参考になりますが、より生きた情報として活用できるのが、業界内でのリアルな相場収集です。同業他社に直接確認したり、その業界に詳しい転職エージェントに話を聞いたりする方法は、手当の構成や残業代の扱いなど、数字の背景にある実態まで把握できる点で特に有効です。エージェントは市場の実勢を肌感覚で把握しており、統計だけでは見えにくいリアルな条件まで含めた情報を持っています。こうした生きた相場感を掴むことで、提示すべき報酬の水準が自ずと見えてきます。採用の場で自社の報酬体系を自信を持って説明できるようになることは、求職者との信頼関係の構築にも直結します。

「金銭以外の報酬」という視点を持つ

資金に余裕のない時期には、給与水準を一気に引き上げることが難しい場面もあります。しかし、報酬は現金だけではありません。非金銭的な価値を丁寧に設計することで、資金力だけに頼らない人材獲得と定着の仕組みをつくることができます。特に創業期や成長途上の企業では、この視点が採用における大きな武器になります。むしろ、「お金以外で何を提供できるか」を真剣に考え、言語化している会社ほど、求職者の心に響くケースが多いと感じています。

在宅勤務やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方の選択肢は、特に子育て世代にとって金銭に匹敵する価値を持ちます。ライフステージに寄り添える環境があること自体が、他社との差別化になります。成長企業であれば、将来の成果を分かち合うストックオプション制度も選択肢のひとつになります。

また、見落とされがちですが「経験という報酬」の力も見逃せません。プロジェクトマネジメントの実績が積める仕事、市場価値の高いスキルが身につく環境は、スタッフの将来にとって確かな財産になります。顧客からの感謝をチームで共有する文化も、目には見えないやりがいとして人を引き付けます。「大手のような給与は出せないが、ここでしか得られない経験がある」と自信を持って語れる職場は、採用と定着の両面で着実な力を発揮します。

まとめ|報酬設計は、経営者の哲学が問われる場面

持続的な報酬アップを実現するには、収益と給与を連動させる仕組みを整えながら、金銭以外の報酬価値も丁寧にデザインしていくことが求められます。働きやすさや成長の機会、日々の仕事に感じるやりがい。こうした非金銭的な価値を積み重ねることが、人が長く働き続けたいと自然に思える組織をつくります。「この会社で働いて良かった」と心から思ってもらえる職場環境をどう整えるか。それは制度の問題である前に、経営者の姿勢そのものが問われる問いです。想いを言葉にし、制度として形にし、スタッフに伝わる言葉で丁寧に語ること。報酬設計とはつまるところ、経営者の哲学を組織の日々に根付かせる営みだと考えています。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、各企業の成長フェーズやビジネスモデルに合わせた報酬制度・評価制度の設計をサポートしています。「給与体系を収益連動型に見直したい」「働きやすさを制度として整備したい」「採用力を高めるために報酬の仕組みを整えたい」。そうしたお悩みをお持ちの経営者・人事労務担当者の方は、ぜひ一度、無料相談をご活用ください。貴社の現状と方向性にしっかりと寄り添いながら、経営者とスタッフの双方が納得できる報酬設計をともに考えます。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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