コラム

【雇用】短時間アルバイトを雇用する際の注意点

【雇用】短時間アルバイトを雇用する際の注意点

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第122回の配信をもとに書かれた記事です。

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「アルバイトだから、そこまで細かく管理しなくても大丈夫だろう」。そう考えている経営者や人事担当者の方は、意外と多いのではないでしょうか。

しかし実際には、短時間労働者の雇用管理を疎かにしたことで、思わぬトラブルに発展するケースが少なくありません。シフトの削減をめぐる賃金未払いの指摘、扶養枠の突破によるクレーム、雇用保険の受給要件を満たせなかったことへの不満など、その内容は多岐にわたります。

正社員の労務管理には気を配っていても、短時間労働者については後回しにしてしまう。そんな企業ほど、ある日突然、大きなトラブルに見舞われるリスクを抱えています。今回は、見落とされがちな短時間アルバイト雇用における注意点について、実務的な視点からお話しします。

シフト制だからこそ求められる契約の明確化

飲食店やサービス業でよく見られるのが、「労働時間はシフトで決めるので」という曖昧な約束だけでアルバイトを採用してしまうケースです。雇用契約書を作成していたとしても、具体的な勤務日や時間が明記されていないことは珍しくありません。

シフト制という柔軟な働き方は、企業にとって需要の変動に対応しやすい仕組みです。しかし労働者側には、週5日で1日4時間働けるから月にこれくらいの収入が得られ、生活が成り立つという生活設計があります。

もし会社側が客足の減少を理由に勝手にシフトを削ったり、予定より早く帰らせたりした場合、本来支払うべき賃金との差額について請求される可能性があります。シフト制という言葉に甘えて契約内容を曖昧にしていると、後々大きな代償を払うことになりかねません。

雇用契約を結ぶ段階で、口約束ではなく、基本となる労働時間や休日をしっかりと書面に落とし込むこと。これが双方の信頼関係を守る第一歩となります。

労働契約は双方が守るべき約束である

逆のパターンもあります。スタッフ側から「急に忙しくなったのでシフトを減らしてほしい」と打診されることも多いでしょう。多くの場合は話し合いで調整されますが、会社としては週5日・1日4時間働けるから採用したという前提条件があります。

労働契約とは、会社が賃金を支払い、スタッフが働くという両社に義務がある契約です。一方がその義務を果たせなくなった場合、基本的には契約の維持が難しくなります。もし本人の都合で契約通りの勤務ができないのであれば、それは厳密には契約の不履行にあたり、契約解消の正当な理由になり得ます。

短時間労働者であっても、契約である以上は双方に責任が伴います。会社が一方的にシフトを操作するのも、スタッフが自由に勤務時間を変えるのも、本来の契約のあり方からは外れているのです。この大原則を理解せずに、適当な運用を続けてしまうと、いずれどちらかが不満を抱え、関係が悪化することになります。

扶養の壁をめぐるトラブルとリスク管理

短時間労働者の雇用で最も揉めやすいのが、扶養の壁をめぐる問題です。業績が良かったからと良かれと思って出した年末の賞与が、結果として従業員の扶養の範囲を超えさせてしまい、クレームにつながるという皮肉な事態も起こり得ます。

また人手不足を理由に多くシフトに入ってもらった結果、扶養を外れることになり、会社側に管理不足だと不満をぶつけられるケースもあります。ですが、スタッフ全員の年収を正確に把握し、枠内に収まるよう調整し続けるのは、企業の規模が大きくなるほど現実的には困難です。

こうしたトラブルを避けるためには、年収管理は基本的に本人の責任で行ってもらうよう周知すること、月額の上限を明確にした運用ルールを設けること、そして扶養枠を超えないための契約内容であることをあらかじめ書面に明記することが有効です。

特に注意したいのは、採用段階での認識のすり合わせです。扶養の範囲内で働きたいという希望があるのであれば、それを前提とした契約内容にする必要があります。感情的な対立を防ぐためにも、採用時に扶養の範囲についての取り決めを明確にしておくことが大切です。

短時間労働者にも適用される保険の基礎知識

「アルバイトだから保険は関係ない」という思い込みも危険です。労災保険については、勤務時間や日数にかかわらず、すべての労働者に適用されます。日雇いの方であっても、業務中に怪我をすれば治療費などの給付を受けることが可能です。

次に雇用保険ですが、これも一定の加入要件を満たしていれば、退職後に基本手当を受給できます。ここで注意が必要なのは、受給要件です。一般的には離職日以前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることなどが求められます。

雇用保険に加入していたとしても、実際の勤務日数が極端に少なく、例えば月5日しか働いていないような状態が続いていた場合、退職後に受給できないというケースが生じます。また受給額は直近6ヶ月の給料をベースに計算されるため、退職間際の残業や有給消化の仕方が受け取れる金額に影響を与えることも覚えておくとよいでしょう。

スタッフから「雇用保険に入っていたのに、退職後に手当がもらえなかった」と言われ、会社の説明不足を責められるケースもあります。加入させるだけでなく、受給要件についても適切に説明しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

まとめ

短時間アルバイトの雇用は、正社員以上に細やかな配慮とルールの運用が求められます。シフト管理、扶養の問題、そして雇用保険の要件など、一つひとつを適切に処理することが、結果として組織の安定につながります。

多くの企業が、アルバイトスタッフの労務管理を軽視しがちですが、それは大きなリスクを抱えることに他なりません。契約内容を明確にし、運用ルールを整備し、必要な説明を尽くす。こうした地道な取り組みが、トラブルのない健全な職場環境を作り上げます。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、本記事で解説したようなアルバイトスタッフの雇用契約書の作成や、扶養枠を考慮した運用ルールの構築、各種保険の手続きまで幅広く対応しております。

スタッフとの間でシフトや扶養を巡ってトラブルになりそう、今の契約内容が法律に則っているか不安だといったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

ONE HEARTに労務のご相談をしたい方、ONE HEARTでのお仕事に興味がある方、吉田とお話ししてみたい方など、ホームページの問い合わせフォームやtwitterのDMからお気軽にご連絡いただけると幸いです!

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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