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人事評価制度とは?目的・仕組みと導入時のポイントをわかりやすく解説

人事評価制度とは?目的・仕組みと導入時のポイントをわかりやすく解説

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「10分で労務がわかるラジオ」” 第225回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

会社の規模が大きくなるにつれて、「社員の給与をどのように決めればよいのか」「昇格の基準をどう説明すればよいのか」といった悩みが増えてきます。

社員が少ないうちは、経営者が一人ひとりの働きぶりを把握し、給与や役職を決めることもできるでしょう。しかし、人数が増えると、すべての社員を同じ基準で判断することが難しくなります。

こうした課題を整理するために役立つのが、人事評価制度です。今回は、人事評価制度を導入する目的や給与の考え方、制度づくりで押さえておきたいポイントについて解説します。

人事評価制度とは?導入する目的と必要になるタイミング

人事評価制度とは、社員の能力や仕事の成果、担っている役割などを一定の基準で評価し、給与や昇格、人材育成などにつなげる仕組みです。

制度を設ける目的は、単に社員に点数をつけることではありません。会社が何を評価するのかを明確にし、社員が自分に期待されていることを理解できるようにすることが重要です。

人事評価制度がない会社では、給与や昇格の判断が経営者や上司の感覚に依存しやすくなります。経営者としては理由があって決めたつもりでも、社員から「なぜあの人の給与が高いのか」「自分は何をすれば昇格できるのか」と尋ねられたとき、説明に困ることがあります。

制度を導入する時期について、私は従業員が30人程度になった段階を一つの目安として考えています。実際には10人程度から検討する会社もあり、必要なタイミングは事業内容や組織の状況によって異なります。

大切なのは、人数だけで判断するのではなく、経営者が社員全員の働きぶりを把握し、公平性や納得感のある説明をすることが難しくなってきたかどうかです。

人事評価制度の基本は「人」と「仕事」のどちらを評価するか

人事評価制度を考えるうえで、最初に整理しておきたいのが「人に対して値付けをするのか、仕事に対して値付けをするのか」という考え方です。

人に対して値付けをする制度では、社員が身につけた能力や経験、勤続年数などを重視して処遇を決めます。長期的な人材育成と相性がよく、経験の積み重ねが仕事の質につながる職場では取り入れやすい考え方です。

ただし、能力や経験を重視するあまり、実際の仕事の成果と給与の関係が見えにくくなることがあります。若手社員が大きな成果を上げていても、その貢献が給与に十分反映されなければ、不満につながる可能性があります。

これに対して、仕事に値付けをする制度では、担当する職務や役割、責任の大きさなどを基準に処遇を決めます。

例えば、部長、課長、一般社員といった役割ごとに給与水準を設定する考え方です。役割と報酬の関係が明確になるため、社員にとっても、どのような仕事を担えば処遇が変わるのかを理解しやすくなります。

その反面、管理職のポストが限られている会社では、十分な能力があっても希望する役割に就けない社員が出てきます。同じような能力を持つ社員でも、役職の有無によって給与に差がつくことがあり、制度への納得感を損なう場合があります。

どちらの考え方が適しているかは、会社の事業内容や人材の働き方によって変わります。例えば、長年の経験や技術の蓄積が重要な製造業と、個人の成果や担当する役割が比較的明確な営業・コンサルティング業務では、評価で重視すべき要素も異なるでしょう。

能力と役割を組み合わせた人事評価制度の考え方

実際の制度づくりでは、人の能力だけ、あるいは仕事の役割だけで給与を決めるのではなく、両方を組み合わせる方法もあります。

例えば、社員の能力や経験を基本給に反映し、管理職などの役割に応じて役職手当を支給する仕組みです。

この方法であれば、長年培ってきた能力を評価しながら、現在担っている責任の大きさも処遇に反映できます。

ただし、基本給と役職手当を組み合わせれば、それだけで納得感のある制度になるわけではありません。それぞれの金額をどのような基準で決めるのか、昇格や役職変更によって処遇がどう変わるのかを整理する必要があります。

人事評価制度には、すべての会社に当てはまる一つの正解があるわけではありません。年功的な要素をどの程度残すのか、成果や役割をどこまで重視するのか。自社の仕事の特性や社員に期待する働き方を踏まえ、制度の方向性を決めることが大切です。

人事評価制度の導入前には従業員アンケートを実施する

人事評価制度を新しくつくる際には、経営者や人事担当者だけで内容を決めるのではなく、社員の意見を把握することも重要です。

私は、制度設計の前に従業員アンケートを実施することをおすすめしています。

アンケートを通じて、社員が現在の評価や給与をどのように受け止めているのか、仕事をするうえで何に困っているのか、会社の強みや課題をどう感じているのかを確認します。

経営者が考えている課題と、現場の社員が感じている課題が一致しているとは限りません。制度をつくる前に現場の状況を把握しておけば、自社に必要な評価基準を検討しやすくなります。

また、社員の意見を聞くことには、制度への理解を深める意味もあります。自分たちの声を踏まえて制度が検討されていると分かれば、新しい仕組みを受け入れやすくなるでしょう。

もちろん、アンケートで寄せられた要望をすべて制度に反映するということではありません。会社としての方針を明確にしたうえで、社員の意見をどのように検討したのかを説明することが大切です。

制度の内容が固まった後には、評価を担当する管理職への研修や、社員向けの説明も必要になります。制度をつくることだけを目的にせず、実際に運用できる状態まで準備しましょう。

実力資格等級表で昇格基準とキャリアの道筋を明確にする

人事評価制度を設計する際、特に重要になるのが「実力資格等級表」です。

実力資格等級表とは、社員の能力や役割に応じて等級を設け、それぞれの段階で何が求められるのかを整理したものです。

例えば、入社したばかりの社員、基本的な仕事を一人で進められる社員、後輩を指導できる社員、チームをまとめる社員、管理職といった段階を設定し、各等級に必要な能力や行動を明確にします。

これは、社員にとってのキャリアの地図のようなものです。

今の自分がどの段階にいるのか、次の等級に進むためには何が必要なのかが分かれば、日々の仕事で目指す方向も明確になります。会社側も、昇格や給与の判断について具体的に説明しやすくなります。

もう一つ考えておきたいのが、管理職以外のキャリアです。

仕事の能力が高い社員が、必ずしも人のマネジメントを得意としているとは限りません。専門分野で優れた成果を上げる社員に、昇格のためという理由だけで管理職を目指してもらうことが、会社にとって最善とは限らないのです。

そこで、管理職として組織を率いる道と、専門性を高めて活躍する道を分ける複線型のキャリア制度も選択肢になります。

社員の強みを活かしながら成長を支援できるよう、等級制度とキャリアの道筋を一緒に考えることが重要です。

まとめ|自社に合った人事評価制度をつくるために

人事評価制度は、社員の給与や昇格を決めるためだけの仕組みではありません。会社が何を大切にし、社員にどのような成長や役割を期待しているのかを示すものでもあります。

制度をつくる際には、能力と仕事のどちらを重視するのかを整理し、必要に応じて両方を組み合わせることが大切です。そのうえで、従業員アンケートによって現場の状況を把握し、実力資格等級表を通じて評価や昇格の基準を明確にしていきます。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、企業の状況に応じた人事評価制度の設計や運用についてご相談を承っています。人事評価制度の導入や見直しを検討されている方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)
執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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