コラム

【雇用契約】あなたの会社は大丈夫?試用期間を正しく活用できていますか?

【雇用契約】あなたの会社は大丈夫?試用期間を正しく活用できていますか?

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第110回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

試用期間と有期雇用契約の混同が招くリスク

社会保険労務士として企業の労務相談を受けていると、正社員の雇用契約書であるにもかかわらず、入社後の最初の3か月のみ「有期雇用契約」と記載されているケースを見かけることがあります。担当者に確認すると、「試用期間です」と説明されることも少なくありません。

しかし、契約書の記載を確認すると、正社員採用の前提でありながら、4月1日から6月30日までといった契約期間が明記されていたり、更新条件が書かれていたりする場合があります。こうした契約書が作成される背景には、正社員として求人を出すことで採用上の魅力を高めつつ、ミスマッチと判断した場合、契約期間満了で低リスクで雇用契約を終了させたいという企業側の意向があります。

裁判になった場合、裁判所はこれを有期雇用契約ではなく単なる試用期間と判断します。その結果、3ヶ月で契約を終了させようとしても、簡単には認められません。不当解雇と判定されるケースもあります。つまり企業が期待していた柔軟性は得られず、むしろ労務リスクを抱え込むことになってしまいます。

試用期間と有期雇用契約は根本的に異なる制度

試用期間は主に正社員、つまり無期雇用契約の方に向けた制度です。日本の雇用慣行では、正社員を中心とした長期雇用を前提とした労務管理が組まれています。そのため正社員として長くやっていけるかどうかを見極める期間として、試用期間が設けられています。

一方、有期雇用契約はその名の通り、雇用契約に期間の定めがある契約です。原則として、例えば3ヶ月間の有期雇用契約であれば3ヶ月で契約終了となります。次の契約があるかどうかは双方の合意次第であり、契約書の書き方によって更新の有無が決まります。

この2つは根本的に異なる制度であり、混同して運用することは望ましくありません。

多くの経営者や労務担当者は、試用期間中であればすぐに辞めさせることができると考えがちですが、実際には、試用期間中であっても会社側から一方的に解雇することは難しいのが現実です。

正社員を会社側の都合で一方的に解雇するのは難しいですが、試用期間中はそのハードルがほんの少し下がる程度と考えてください。

試用期間を正しく活用する方法は延長制度にある

試用期間には意味がないのかというと、そうではありません。実務的には試用期間を上手に活用することで、円滑な労使関係を築くことができます。その鍵となるのが試用期間の延長制度です。

多くの企業では試用期間を3ヶ月とし、最大6ヶ月まで延長できる仕組みを採用しています。入社時にまず期待成果を明確に伝えます。営業職であれば一定の契約件数、事務職であれば1時間あたりの処理量など、正社員として求められる基準を示すのです。

そして2ヶ月ほど経過した時点で、合格ラインに到達していないスタッフがいた場合、面談を実施します。このままではパフォーマンスが不足しているため試用期間を延長したいと伝え、さらに3ヶ月間頑張ってもらうのです。

ただし単に頑張ってもらうだけでなく、定期的な面談や教育プログラムを用意して、6ヶ月後には一人前になれるよう、正社員として本採用できるようサポートします。

試用期間延長がもたらす双方のメリット

このようにコミュニケーションをとっておくことは重要です。こうした働きかけをバネにしてスタッフが大きく成長し、正社員としての適性を身につけられるケースもあります。

6ヶ月後も本採用が難しいと判断せざるを得ない場合もあります。ですが、試用期間を3ヶ月延長し、会社としても期待を込めて一緒に取り組んできたという経緯があると、スタッフ側も納得しやすくなります。会社が一歩譲歩してくれたのだから、自分も一歩譲歩しようという気持ちになり、合意退職に至りやすいのです。

解雇という法的手段に頼ることなく、合意によって円満に退職してもらえれば、会社の労務管理リスクは低減されます。試用期間延長という制度は、解雇のハードルを下げるためではなく、双方が納得できる関係を築くためのツールとして活用するのが望ましいです。

まとめ

試用期間と有期雇用契約は根本的に異なる制度であり、両方のいいとこ取りを狙った契約書は大きなリスクを招く可能性があります。試用期間中でも解雇のハードルは依然として高いことを理解し、延長制度を活用して丁寧なコミュニケーションを重ねることが、円滑な労使関係を築く近道です。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、急成長を遂げる企業が後悔しない働き方の設計を行えるようトータルでサポートしております。試用期間の運用方法や雇用契約書の作成、従業員とのコミュニケーション設計など、労務に関するお悩みがあればぜひご相談ください。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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