コラム

【退職】退職するかもという人の特徴

【退職】退職するかもという人の特徴

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「10分で労務がわかるラジオ」” 第180回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

「あのスタッフ、最近どこかおかしい気がするんですよね」

そう話す経営者の直感は、たいていの場合、当たっています。退職の意思を正面から切り出す前に、人は行動や態度にじわじわとサインを滲ませるものです。そのサインをどの段階で捉え、どう向き合うかが、人材流出を最小限に抑えられるかどうかの分水嶺になります。

退職の前兆から実務上の対応まで、経営者や労務担当者として押さえておくべきポイントを整理しました。退職予告期間の考え方や、退職が決まったスタッフへの在職期間中の接し方、さらに賞与の扱いが組織全体に与える影響まで、現場でそのまま活かせる視点でお伝えします。

退職の前兆に気づく「行動のシグナル」を読む

退職を考え始めたスタッフの変化として、まず目に入りやすいのが有給休暇の取得頻度の増加です。これまであまり休まなかった人が、特定の曜日に繰り返し休みを入れるようになったとすれば、転職活動や今後に向けた準備が始まっているサインである可能性があります。

より見落としやすいのは、存在感の変化です。会議での発言が極端に減り、新しい役割やプロジェクトへの打診を曖昧な理由で断るようになる。こうした「引いていく」動きは、退職を意識した人が無意識のうちに会社との距離をとり始めているあらわれです。責任ある発言や深い関与を避けようとする心理が働き、じわじわと職場での輪郭が薄くなっていきます。日々の業務に追われていると、つい見逃してしまいがちな変化です。しかし、こうしたサインに早く気づけるかどうかが、その後の対応の選択肢を大きく左右します。

退職の兆候への向き合い方と、やってはいけない対応

様子がおかしいと感じたとき、焦って下手に出たり、突然の食事に誘って関係を取り繕おうとしたりするのは得策ではありません。不自然な気遣いは相手に見透かされ、かえって「本当のことを話しにくい」と思わせてしまいます。

有効なのは、1on1面談など一対一で話せる場を意図的に設けることです。率直に問いかけるだけで、離職意思の裏に、家族の事情や体調の不安、評価への不満など、会社側の関わり方次第で解消できる問題が隠れていることがわかる可能性があります。またこの対話は、退職を検討している人に対して、機密情報の持ち出しや職場でのふるまいへの抑止力としても機能します。上司が真剣に向き合っているという姿勢そのものが、人の行動を律する力を持つのです。状況を把握しないまま放置することが、最もリスクの高い選択です。

退職予告期間のルールと、就業規則の現実的な設計

実務でよく相談されるのが、退職をいつまでに申し出てもらうべきかという問いです。数ヶ月前から意向を伝えてくれるスタッフは、引き継ぎや採用活動の時間を十分に確保できるという意味で、会社にとって誠実な対応をしてくれている存在です。予告期間が長ければ長いほど、準備のゆとりが生まれます。

一方で、就業規則に極端に長い予告期間を定めることには慎重になる必要があります。拘束が強すぎると、不満を持った退職者がその体験をSNSで発信するなど、採用市場における企業の評判、いわゆるレピュテーションリスクを招くことがあります。さらに、本来は円満に送り出したい人材が長く職場にとどまることで、現場に摩擦が生じるケースもあります。引き継ぎに必要な実務期間と、企業としての印象のバランスを踏まえると、30日前程度の設定が妥当な水準と考えます。自社の業種や業務の特性に照らしながら、実態に合った形で設計することが大切です。

退職確定後の「在職期間」をどう扱うか

退職が決まったスタッフが、残りの在籍期間中に会社への不満を口にしたり、同僚に対して後ろ向きなムードを広げたりするケースは、組織全体の士気に深刻な影を落とします。個人の言動が職場の空気を一変させることは、決して珍しくありません。

こうした場面では、無理に出社させ続けるよりも、有給休暇の計画的な消化を促したり、給与を全額保証したうえで就労義務を免除するほうが、残されるスタッフの環境を守る現実的な手立てになる可能性があります。ただし、会社側が感情的に「すぐ出てきてほしくない」と一方的に伝えることは、感情的な対立に発展するリスクを伴います。本人との十分な話し合いと相互の合意を経たうえで対処することが、後のトラブルを防ぐために不可欠です。残されたチームが安心して働ける環境を守ることを、判断の軸に置いてください。

退職時の賞与の扱いが招く「連鎖退職」のリスク

退職が決まった途端に最後の賞与を大幅に減らす会社があります。しかし、この判断は慎重に考える必要があります。賃金としての性質を持つ賞与を、明確な根拠なく著しく引き下げることへの不満は、退職者本人の口から在職中のスタッフへと伝わります。

「辞めるときは損をする」という認識が職場に広まれば、賞与が支給されたタイミングを見計らって退職届が集中する、賞与支給日の直後の連鎖退職を招く可能性があります。業務の継続性が損なわれるだけでなく、採用と育成にかかるコストも膨らみます。退職の有無にかかわらず、一貫した評価基準のもとで賞与を運用することが、スタッフの会社への信頼を守り、人材の定着につながります。透明性のある制度の設計と運用は、組織の長期的な安定を支える礎となります。

まとめ

退職は、どれほど丁寧に職場を作っていても、完全にゼロにはできません。大切なのは、前兆を見逃さず、適切なタイミングで対話し、組織全体への影響を最小限に抑える実務の積み重ねです。一人ひとりが気持ちよく次のステージへ進み、残されたチームが揺らがずに前を向ける環境をつくること、それが経営者としての誠実な責任だと思います。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、退職に伴うトラブルの予防や、スタッフの定着につながる給与・評価制度の整備など、組織の人事労務課題を幅広くサポートしています。「退職者が続いてどう対処すればいいかわからない」「就業規則を見直したい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ当法人のホームページからお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は無料で承っております。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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