コラム

【法令遵守】中小企業がやりがちな法律違反6選

【法令遵守】中小企業がやりがちな法律違反6選

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「10分で労務がわかるラジオ」” 第152回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

「うちはちゃんとやってるつもりなんですけど…」

労務相談の場でよく耳にする言葉です。悪意はまったくない。ただ、昔からそうやってきた。みんな納得している気がする。そういう「つもり」が、実は法律違反につながっているケースが中小企業の現場では少なくありません。

知らなかったでは済まされないのが法律の世界です。働き方改革以降、労働関連法令への社会的な目が厳しくなっている今、古い慣習のまま経営を続けることは、じわじわとリスクを積み上げていることと同じです。

今回は、労務トラブルの相談対応の中でとくに多く見られる法令違反のパターンを6つ整理しました。自社に当てはまるものがないか、ぜひ確認してみてください。

1|罰金・違約金制度

「遅刻1回につき罰金1,000円」という規定を就業規則に設けている会社があります。規律を守ってほしいという気持ちはよく理解できますが、あらかじめ罰金を定めることは労働基準法で禁じられています。

同じ考え方で、「1年以内に退職した場合は採用費を返還せよ」といった取り決めも無効です。退職の自由を制限するような違約金の設定は認められません。

ただし、従業員が故意に会社の財物を損壊した場合の実損の一部について補填を求めることは、一定の条件のもとで検討の余地があります。一方、業務上の過失による損害については「全額本人負担」とすることはほぼ認められません。利益を受け取っているのは会社である以上、リスクも会社が相応に負うべきという考え方が主流です。

2|労使協定なき給与からの天引き

制服代やレクリエーション費用などを、本人の同意があるからという理由で給与から天引きしているケースがあります。しかし、賃金は「全額を直接本人に支払う」という原則があります。給与天引きを適法に行うには、あらかじめ従業員代表と「賃金控除に関する労使協定」を締結することが必要です。この労使協定を締結していない状態での給与天引きは違法です。

「みんな納得しているから」という感覚は通用しません。いざトラブルが起きたとき、この協定書の有無が大きな分かれ目になります。

3|残業代の「払っているつもり」

意図的に残業代を支払わない会社は以前より減りましたが、計算方法のミスによって結果的に未払いが発生しているケースは今も多くあります。

よくある誤解は、残業代の計算基礎となる賃金の範囲です。基本給だけで残業代を計算すれば安く済むという認識は誤りで、資格手当や職務手当などの諸手当も原則として計算に含める必要があります。また、所定労働時間の割り出し方が実態と合っていなかったり、固定残業代(みなし残業制)の設定要件を満たしていないケースも見られます。

未払いの残業代は過去に遡って請求されるリスクがあります。専門家に依頼して計算を見直すと、「払っているつもりだったのに実は不足していた」と事実を提示され、驚く経営者の方も少なくありません。早めに実態を確認することをお勧めします。

4|ハラスメントの放置

社内でセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントが起きたとき、「当事者同士の話し合いで解決すればいい」という対応は通用しません。会社には、従業員が安全に、心身の健康を損なうことなく働ける職場環境を整える法的な義務があります。この義務は会社の規模に関わらず、すべての事業者に適用されます。

事実を把握した時点で、関係者へのヒアリングを行い、必要であれば懲戒処分の検討を含む再発防止策を講じることが会社の責任です。放置すれば企業の信用が損なわれるだけでなく、損害賠償責任を問われる可能性もあります。ハラスメント対策は、今や経営上の重要課題のひとつです。

5|社会保険の加入希望制度

「手取りを増やしたいから社会保険に入りたくない」というスタッフの意向を汲んで、希望者だけを加入させているケースがあります。しかしこれも法律違反です。社会保険は、所定の加入基準を満たせば本人の意思に関わらず加入が義務となります。本人が望んでいるかどうかは、法的な加入義務とは別の話です。

加入基準を正確に把握し、対象となる従業員を漏れなく加入させることは、会社が果たすべき法令遵守の基本です。

6|外国人雇用の不法就労

人手不足が続く中、外国人スタッフを採用する中小企業が増えています。在留カードを持っていれば誰でも働けるわけではありません。在留資格によっては就労が制限されており、たとえば留学や家族滞在の在留資格では、資格外活動の許可がなければ原則として就労できません。

これを知らずに、あるいは知っていて雇用してしまうと、不法就労助長罪に問われる可能性があります。「お互いに都合がいいから」という感覚は通用しません。採用時には在留カードの在留資格と就労可能な業務範囲を必ず確認し、必要であれば在留資格の変更手続きをサポートするなど、正確で誠実な対応を心がけてください。

まとめ|労務リスクの点検は、早いほど選択肢が広がる

今回取り上げた6つのケースに共通するのは、「悪意はなかった」「昔からそうやってきた」という慣習の積み重ねです。知識がなかったことは責められないかもしれませんが、法律はそれを免責する理由にはなりません。

労務リスクは早期に把握するほど、対応の選択肢が広がります。問題が表面化してから動くのと、予防的に整備しておくのとでは、会社が受けるダメージも費やすコストも大きく変わります。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、今回ご紹介したような労務リスクの点検から、就業規則・労使協定の整備、残業代計算の見直し、ハラスメント相談窓口の構築まで、幅広くサポートしています。「自社の労務管理に不安がある」「就業規則を一度きちんと見直したい」という経営者・人事労務担当者の方は、まずは無料相談をご利用ください。貴社の現状を丁寧に確認し、トラブルを未然に防ぐためのサポートをいたします。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

ONE HEARTに労務のご相談をしたい方、ONE HEARTでのお仕事に興味がある方、吉田とお話ししてみたい方など、ホームページの問い合わせフォームやX(旧twitter)のDMからお気軽にご連絡いただけると幸いです!

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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