このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第139回の配信をもとに書かれた記事です。
Podcastでは、給与・報酬の設計を中心に、会社を経営していくうえでぶつかる人事の課題についてお話ししています。ぜひフォローをお願いします!
社労士事務所には調査は来ないだろう。開業当初、私はそんな考えを持っていました。しかし2024年10月、開業から4年も経たないうちに、突然、社会保険調査の通知が届きました。この実体験を通じて、調査は特別な事業所だけに来るものではなく、すべての企業に等しく訪れる定期点検だということを実感するきっかけとなりました。
社会保険調査は全事業所に平等に訪れる
年金事務所の話では、4年に1回は全事業所を確認するという方針があるそうです。私たちのケースも、開業から約4年というサイクルに見事に一致しました。SNSで他の社労士の反応を見ても、同様に調査を受けているようです。「特定の業種だから調査に当たらない」などのルールはなさそうです。
社会保険調査は、特段疑わしい会社を狙い撃ちにするものではありません。すべての事業所を網羅的に確認していく行政の定期的な業務と言われています。どの企業にも数年に一度は必ず巡ってくる定期検診と捉えるべきでしょう。
いつ通知が届いても慌てることのないよう、日頃から適正な管理を行っておく。これに勝る対策はありません。特に創業から数年が経過した企業や、事業拡大に伴ってスタッフ数が増加している企業は、調査の対象になりやすい傾向があります。
社会保険調査でチェックされる2つのポイント
社会保険調査とは、日本年金機構が民間企業を対象に、社会保険への加入が適切に行われているかを確認する手続きです。年金事務所が重点的にチェックするポイントは大きく二つあります。
一つ目は、加入すべき人が漏れなく加入しているかです。週20時間以上の勤務といった一定の基準を満たすスタッフが、適切な手続きをされているかを確認します。
二つ目は、正しい報酬額で届け出がされているかです。実際には月給50万円を支払っているにもかかわらず、社会保険料を抑えるために20万円と偽って届け出る。こうした虚偽申告は保険料の不足に直結するため、非常に厳しく調査される論点となります。
調査官が必ず確認する所得税徴収高計算書
調査で年金事務所から提示を求められる書類は多岐にわたります。就業規則、賃金台帳、雇用契約書、タイムカード。これらの書類を突き合わせることで、勤務実態と給与支払いの整合性を確認していきます。
例を挙げましょう。100人に給料を支払っているにもかかわらず、社会保険加入者が20人しかいなければ、残りの80人はなぜ入っていないのかという質問をされます。「80名は所定労働時間が短いから社保加入義務がありません。」と論理的に説明できれば問題ありません。しかし、説明がつかない、つまり本来であれば社保加入義務があるスタッフを加入させていない場合、過去2年に遡って加入を命じられるリスクが生じます。
「調査で社保未加入を指摘されたくないから、賃金台帳から社保未加入者を削除して、社保調査で提示しよう」と考える経営者の方がいます。これは絶対に避けたほうがいいでしょう。単純に倫理的によくないというだけでなく、社会保険の調査では所得税徴収高計算書に記載された人数と賃金台帳の人数を突合するため、意図的に情報を隠したことが発覚してしまうからです。
2年間の遡及適用がもたらす経営への打撃
調査で不備が指摘され、指導の対象となった場合の影響は甚大です。社会保険の時効は2年。最長で2年間分を遡って加入させ、その社会保険料を一括で支払わなければなりません。
会社負担分だけでなく、本来本人が負担すべきだった分も一旦は会社が立て替えて納付するため、資金繰りを深刻に圧迫します。さらに突然2年分の社会保険料を負担してくださいと伝えられた従業員が納得するはずもなく、信頼関係が崩壊する恐れがあります。
社会保険に入ったら会社が潰れてしまう。そう訴える経営者もいらっしゃいますが、その時点でビジネスモデル自体が限界を迎えている可能性があります。社会保険料を適正に支払った上で利益が出る顧客単価や収益構造の設計を行い、普段から社会保険に適正に加入することが本当の対策です。
まとめ
社会保険調査は、ある日突然、あなたの会社にも訪れます。それは社労士法人であっても例外ではありません。調査の目的は、不適切な保険料逃れを防ぎ、働く人の権利を守ることにあります。書類の矛盾を突かれ、過去に遡って多額の支払いを命じられるリスクを避けるには、日頃からの誠実な労務管理に勝る対策はありません。
今の管理状態で調査が来ても大丈夫だろうか。パートタイマーの加入基準の判断に自信がない。そう不安を感じている経営者や人事担当者の方も多いはずです。
社会保険労務士法人ONE HEARTでは、自らが調査を受けたリアルな経験を活かし、調査対策はもちろん、そもそも調査で動じないための強固なビジネスモデルに即した労務設計を支援しています。
現状の診断をしてほしい、調査対策について詳しく知りたい。そのような方は、ぜひONE HEARTのホームページより無料相談をお申し込みください。プロの視点で、御社の安定した経営を守るお手伝いをいたします。
また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。
ONE HEARTに労務のご相談をしたい方、ONE HEARTでのお仕事に興味がある方、吉田とお話ししてみたい方など、ホームページの問い合わせフォームやX(旧twitter)からお気軽にご連絡いただけると幸いです!
オンラインで完結

個別無料相談を
ご利用ください
執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)
社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。


