コラム

【契約】雇用契約VS業務委託契約

【契約】雇用契約VS業務委託契約

このコラムは、Podcastラジオ “社労士吉田優一の「給与設計相談室」” 第138回の配信をもとに書かれた記事です。

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目次

新しく人を迎え入れるとき、雇用契約と業務委託契約のどちらを選ぶべきか。

多くの経営者が一度は直面するこの判断ですが、実は当事者間の合意だけで自由に決められるものではありません。契約の名称ではなく、働き方の実態で判断します。

本記事では、雇用契約と業務委託契約を分ける境界線について、労務管理の実務に即して解説します。

雇用契約か業務委託契約かは実態で判断される

まず押さえておくべき原則があります。雇用か業務委託かは、当事者間の合意だけで決まるものではなく、実態で決まります。

労働基準法における労働者の判定は、契約の名称ではなく、働き方の実態で行われるためです。厚生労働省が示す労働者性の判断基準に照らし、業務委託としての実態が伴わなければ、雇用と判定される可能性があります。

この実態判断の原則を正しく理解し、安易な契約選択を避けることが、長期的な経営を守る第一歩となります。

労働者性の判断基準は指揮命令が重要

それでは、労働者つまり雇用と、個人事業主つまり業務委託は、どのような基準で区別されるのでしょうか。判断の軸は大きく二つ、使用従属性に関する基準と、それを補強する要素です。

重要となるのが、業務が他者の指揮命令下で行われているかという点です。

業務遂行上の指示について考えてみましょう。デザイン業務を依頼する場合、成果物だけを約束して制作手法は本人に任せるなら、業務委託の性質が強くなります。一方、配色や作風、制作手順まで細かく指示し、過程を管理している状況では、労働者性が高いと判断されます。

時間と場所の拘束も重要な判断材料です。朝9時の出社から夕方18時まで、社内に滞在することを求めている場合は、労働者としての性質を強めます。反対に、作業時間や場所を本人の裁量に委ねていれば、業務委託の要素が強まります。

これらの要素などを総合的に見て、支払われる報酬が提供された労働そのものへの対価と判断されれば、それは給与であり、雇用関係だと考えます。

事業者性の有無が労働者性の判断を後押し

指揮命令関係に加えて、その人が独立した事業者として活動しているかという視点も欠かせません。これが労働者性を補強する判断要素となります。

その企業専属か否かという視点から見ていきましょう。特定の一社からのみ仕事を受注し、他社との取引が事実上制限されている状況は、その企業の専属である可能性が高く、労働者性を強める要因になります。

使用する機械や器具の負担関係も判断材料です。業務に必要なパソコンや専門機材、消耗品を会社が無償貸与しているなら、雇用に近い状態といえます。一方、自前の機材を持ち込み、自己の責任と負担で業務を遂行している場合は、事業者性が認められやすくなります。

開業届の提出や確定申告の実施といった形式面も考慮されますが、これらはあくまで補助的な要素です。

業務委託を雇用と偽ることには多くのリスクが介在

実態は雇用にもかかわらず業務委託として処理している場合、企業には労務、法務、税務の三方向からリスクが迫ります。

労務と法務の側面から見ると、実態が雇用なら労働基準法が適用されます。業務委託に残業代の概念はありませんが、労働者と認定されれば過去に遡及して未払いの残業代を請求される可能性があります。

業務中の怪我や事故についても、会社が多額の損害賠償を負うリスクが生じます。業務委託で働く人は労災保険の給付がないためです。さらに社会保険や雇用保険への加入義務が発生し、最大2年分の保険料を会社負担分も含めて一括納付しなければならないという事態も想定されます。

税務面でも油断はできません。雇用であれば源泉徴収が義務付けられており、これが漏れていれば税務署から指摘を受ける可能性があります。その他の税務的リスクも想定されるため、心配であれば税理士に相談したほうがよいでしょう。

迷ったときは雇用契約を選択すべき理由

多くの経営者との対話を重ねてきた経験から、一つの指針をお伝えします。迷っているのであれば、雇用契約を選択すべきです。

経営者が業務委託を好む理由としては、「業務委託の方が報酬が低いから」というものがあります。しかし、これはおかしい話です。

そもそも業務委託という働き方は、雇用に比べて安定性が低く、受け手側にとってリスクが高い選択です。市場原理に従えば、リスクが高い分だけ報酬も高くなるのが本来あるべき姿でしょう。

もし業務委託にしなければ採算が合わない、社会保険料の負担が重すぎて経営が成り立たないという状況に直面しているなら、ビジネスモデルそのものや顧客単価の設定に根本的な課題があるのかもしれません。

不適切な契約形態でコストを削減しようとするのではなく、適正な労務管理を前提とした持続可能なビジネス設計こそが、長期的に企業の成長を支えます。

まとめ

雇用契約か業務委託契約かの判断は、単なる事務手続きではありません。会社の存続に直結する重大な経営判断です。

社会保険労務士法人ONE HEARTでは、本記事で扱ったような複雑な実態判断、将来の成長を見据えた組織設計、リスクを最小限に抑えた労務管理の構築を支援しています。

現在の契約形態に不安がある、これから組織を拡大したいが何から着手すべきかわからない。そのような経営者や人事担当者の方は、ぜひ当法人の無料相談をご活用ください。御社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策を共に導き出します。

お問い合わせは、社会保険労務士法人ONE HEARTのホームページよりお気軽にどうぞ。

また、社会保険労務士法人ONE HEARTはITツールを組み合わせて、効率的な労務管理を作り、会社の発展に貢献します。急成長するスタートアップから、長年続く老舗企業まで、幅広いクライアント様をご支援させていただいています。

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吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

執筆:吉田 優一(社会保険労務士法人ONE HEART 代表・社労士)

社会保険労務士法人ONE HEARTの代表社労士。慶應義塾大学中退後、社会保険労務士試験に合格。その後社会保険労務士法人に勤務し、さまざまな中小企業の労務管理アドバイス業務に従事する。その中で、正しいノウハウがないためヒトの問題に悩む多くの経営者に出会う。こうした経営者の負担を軽減しながら、自らも模範となる会社づくりを実践したいという想いから、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立。

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